3年ぶりの魔笛 夜の女王で安井陽子さんが好演

  11月1日は、2006年から3年ぶりの魔笛、前回も新国立劇場で観たもの。今回も同じ演出だが、キャストは新たなもの。
   舞台正面の中空には地球をイメージした天球が昇る。軽快な前奏曲から始まり、怪物に王子が追われるシーン、夜の女王の三人の侍女たちが救うシーン、パパゲーノが登場するシーンなど、いつもの『魔笛』である。
   新国立劇場は外国人ソリストと日本人ソリストの混成。パパゲーノ、タミーノ、パミーナには外国人ソリストを配したものの、ザラストロ、夜の女王は日本人を配した。
   長身のマルクス・ブッターはパパゲーノで、この配役、少し違和感があるが、コミカルな演技はなかなかのもの。タミーノのステファノ・フェラーリは声に少し個性がある。タミーノやパミーナも歌唱重視でいく劇場が多く、あまり王子、王女らしく見えないことが多いのだが、新国立劇場では歌唱よりも外観を重視しているようだ。演劇性を重視しているのだろう。パミーナは少し弱い感じだがカミラ・ティリングの歌唱、演じ方は好感を持てる。総じていえば、この行き方の方がいいのだろう。
   前回の新国立劇場の魔笛では夜の女王の調子があまり良くなかった。今回の安井陽子は、この役を得意としているだけあって、パーフェクトとはいえないまでも、しっかりと聴かせる。
   ザラストロの松位浩はしっかりと歌っていたが、もう少し貫禄が欲しかった。一方、モノスタトスの高橋淳は、役の持つ業をよく演じていた。
   また、今回は三人の侍女が歌唱、演技ともに自信たっぷりで、楽しかった。一方、三人の童子は、少年を使わず、女性歌手を使ったことが今回のチャレンジで、歌唱は良かったが、イメージは少し違和感があった。その代わり、演出として中空を彷徨するシーンとなったということか。総じて言えば、今回の魔笛は日本人ソリストがしっかりと頑張った展開と言えるだろう。
  そのほか、演出で気になったのは、第一幕、タミーノが奏でる魔笛につられて動物たちが躍り出てくるシーン。このぬいぐるみたち、もう少し可愛らしく、色彩豊かにならないのであろうか。いきなり、ゴリラが出てきて、気持ち悪い感じがした。前回もそうだったのかもしれないが、折角の色彩豊かな今回の魔笛のシーンらしくない。
   さて、管弦楽の方はといえば、ウィーンのフォルクス・オパーなどで活躍するアルフレート・エシェヴェの指揮は少し抑制気味。好みもあるだろうが、まとまった形のイメージである。いずれにしても、また一段と盛り上がった歌劇であった。

○ 指揮 アルフレート・エシェヴェ
○ 管弦楽 東京交響楽団
○ 演出 ミヒャエル・ハンペ
○ キャスト
 ・ザラストロ 松位浩(バス)
 ・タミーノ ステファノ・フェラーリ(テノール)
 ・夜の女王 安井陽子(ソプラノ)
 ・パミーナ カミラ・ティリング(ソプラノ)
 ・パパゲーノ マルクス・ブッター(バス・バリトン)
 ・パパゲーナ 鵜木絵里(ソプラノ)
 ・モノスタトス 高橋淳(テノール)
 ・侍女1 安藤赴美子(ソプラノ)
 ・侍女2 池田香織(メッゾソプラノ)
 ・侍女3 清水華澄(メッゾソプラノ)
 ほか

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2009-11-04

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この記事へのコメント

Henry
2016年01月23日 22:23
いよいよ2016年1月24日の魔笛ですね。
シュタイントギル
2016年01月24日 00:02
2016年の夜の女王は、安井陽子さんではありませんが、いずれ日本人ソリストの活躍が楽しみです。

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  • 魔笛

    Excerpt: 魔笛  09年11月 新国立劇場。1F左方向のS席1万8900円。2006年に引 Weblog: COCO2の喝采ステージ racked: 2009-11-08 20:12